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医療・介護に関して、政治家、経営者の皆さん。もっと国民の方をみましょう。

2025-07-12
注目重要
社会保障料を下げたい。でも社会保険料が下がっても、医療へのニーズは不変。佐々木淳
病気や事故の発生率が下がるわけじゃない。
変わるのは自己負担の割合だけ。
社会保険料を減らす、ということは、社会保険料以外からの医療費の家計支出が増えるということ。
みんなわかってるのかな。
確かに現役世代は高齢者に「仕送り」しているように見える。
でも実際には、自分自身の過去(小児期)の医療費の返済と将来の医療費の先払い。
現役世代は一時的に支払い超過になるが、30歳までの社会保険料は過去の医療費の返済、そして70歳で積算医療費が積算支払額を逆転、つまり元がとれてしまう。
そこから先、使う分は支払ってもらう分のほうが多くなる。
日本人の最大死亡年齢は男性86歳、女性91歳。
心筋梗塞や脳卒中、がんなどが増えるのは70歳を超えてから。
確かに現状、あなたの支払った社会保険料は高齢者の医療費に使われているけど、あなたも高齢になったら若年世代に支えてもらうことになる。
これが健康保険の仕組み。
▶いやいや、終末期に「無意味な延命」で多額の医療費を使っているでしょ?
本当に?
在宅医療で看取る高齢者は、公費負担分も含めて月額10万円に届かない。
施設で最後まで過ごす人はその半額くらい。
特養だったら、さらにその半額くらい。
高齢者の終末期、実は全然お金がかかってない。
もちろん亡くなる直前に病院に搬送されてしまう人もいるけど、病院でも点滴と酸素投与くらいしかやらない。
そんなにコストはかかっていない。
▶いやいや、みんな胃瘻とか人工呼吸器して、無理やり生かしているでしょ?
確かに胃瘻する人もいる。
だけど、その多くは急性期に必要に応じて造設された人。
終末期に死期を先延ばしすることだけを目的に積極的に選択する人はいまは少数。
人工呼吸器?
終末期に延命目的に病院に呼吸器つけに行く人なんて在宅医療20年やっているけど、一人もみたことない。
人生の最終段階の高齢者が延命目的で胃瘻や人工呼吸器なんて、ゼロではないかもしれないけど、むしろ例外的だ。
また、仮に胃瘻や人工呼吸器を選択したとしても、本当に終末期の人は、それで生命予後が大幅に延びるなどということはなく、医療費への影響は軽微なはずだ。
療養型や慢性期では確かにコストは高くなる。
ただ国はすでに地域医療計画で在宅への移行を進めている。
▶それでも「亡くなる前の1年間」にかかる医療費が高いじゃない?
それは「終末期じゃない人」が、病気や事故で厳しい状況になり、それでもその人を助けようとみんなが全力で取り組んだ結果。「終末期医療」ではない。これは「治療」だ。
頑張って治療して、でも結果として亡くなってしまった方は、たくさんの医療費を使ってしまう。でも、人生の最終段階でない人、長い人生が取り戻せる可能性がある場合には、やっぱり助かりたい、助けてほしい、助けてあげたい。
これは不適切・不必要な医療ですか?
▶死ぬ確率の高い人に対する医療は自費でいいんじゃない?
引き際の判断は必要。
だけどあなた自身、あるいはあなたの家族が「助かる確率が50%未満だと保険は使えません」「治療してほしければ民間保険か、自費でお願いします」そんなことを言われたらどう思いますか?
何のための保険なんだ!そう感じませんか?
助かるかどうか、やってみないとわからない。
だからこそ、患者さんも医療者も全力で治療に取り組みます。
それが医療の存在理由だからです。
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「終末期医療は、望まぬ延命治療により無駄な医療費を使っている」
これは、人生の最終段階の支援と、そうでない医療とをごちゃまぜにした乱暴な数字から創り出されたストーリー。
一部の例外的ケースがあるとしても、社会保険料に影響を与えるほどのインパクトはありません。
ちなみに「終末期でない高齢者」も、積極的治療を差し控える方向に徐々にシフトしています。
2005年から2023年にかけて、高齢者は1000万人以上、要介護認定者は270万人も増加しました。しかし、入院患者数はこの期間中、146万人→117万人と30万人も減少しています。本来であれば入院患者は高齢化に伴い大幅に増加していたはずですが、逆に大幅な減少となっています。
もちろん、たとえば抗がん剤治療が入院から外来にシフトするなど、医療技術の進歩により入院期間が短縮した、外来で治療できる範囲が増えた、というのはあると思いますが、高齢者一人あたりの医療依存は大きく低下しています。
高額ながん治療や血管系インターベンションなどに関しては80代を超えてから積極的治療を選択されないケースが増加、その主たる受益者は前期高齢者以前の若い世代が中心です。
人生の最終段階の超高齢者が好き放題医療費を使っている、その後始末をさせられている、という解釈はあまりにも実態とかけ離れているように思います。
そもそも社会保険料が高い!と感じるのは、医療の高度化と高齢化に伴う社会保障費の伸びに対して、所得の伸びが追い付いていないから。
せっかく医療が機能して健康寿命を世界最長レベルに延伸し、介護が機能してなんとか家族の介護離職を防ぐことができているのに、それを経済成長につなぐことができていない政財界にこそが、社会保険料負担割合増加の「主犯」なのではないでしょうか。
そして、まさか、そのツケを現場の専門職に負わせるつもりでないですよね。
診療報酬は物価上昇分すら加味されず、爪に火を点すような経営を強いられている医療機関も少なくありません。(悠翔会も儲かっているように思われているかもしれませんが、実は2期連続で赤字です)
社会保険料を下げるために、診療報酬・介護報酬をこれ以上引き下げる、という話になれば、医療機関は診療するだけ赤字になる保険診療から撤退し、自由診療に活路を見出すしかなくなりますし、それは所得格差が健康格差に直結する、文字通り弱肉強食の社会になってしまうと思います。
社会保障費に打ち出の小づちがあると考えている国政政党もあるようですが、そんなものはありません。
あるのは「どこまでの「痛み」を受容するか」という国民の決断だけ。
保険ではなく、自分の責任で医療を購入する。
その範囲を広げる覚悟があるなら、あるいは、自分は年をとっても病気にはならない、病気になっても病院にはいかない、という自信があるなら、その選択は合理的かもしれません。
しかし、いま社会保険料がこれだけ高いのは、それが難しいから。
それを高く感じるのは、所得が伸びていないから。
手取りを増やすために社会保険料を減らす。
いまですら支払い超過なのに、健康保険の持続可能性を確保するために「減らす」議論をしている場合では本当はないはずなのに。
政治家のみなさん、国民と医療者だけに痛みを押し付けて、自らの痛みから逃げている場合じゃないと思いますが。
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