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死亡率から見ると地方と都市の健康格差は疾患によって異なる -全国408万人データから地理的要因と社会経済的要因の関連を解明-

2026-07-23
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地方で死亡率比が高かった死因(左図)都市部で死亡率比が高かった死因(右図)都市部では乳がんに注意
死亡率から見ると地方と都市の健康格差は疾患によって異なる 都市部では乳がんに注意!
左図:所得や雇用など地域の社会経済的な不利を考慮しても、へき地度が高い地域(地方)で死亡率比が高かった死因を示しています。点が右にあるほど、地方で死亡が多いことを意味します(横線は推定の幅・95%信用区間)。右図:都市部で死亡率比が高かった死因を示しています。点が 1 より左にあるほど、都市部で死亡が多いことを意味します(横線は推定の幅・95%信用区間)。
【発表のポイント】
⚫ 全国の市区町村ごとに約 408 万件の死亡データを分析した結果、所得や雇用などの社会経済的な地域格差を考慮しても、地方・都市部と死亡率との関連は死因によって異なることを明らかにしました。
⚫ 心血管疾患や交通事故、不慮の事故、自殺による死亡は地方でより多く、一方で結核、喘息や肺炎、乳がんなどによる死亡は都市部でより多いなど、地域の死亡率の違いは社会経済的な不利だけでは説明できないことが示されました。
⚫ 研究成果より、地域ごとの健康課題を把握し、地域特性に応じた保健医療政策を検討するための基礎資料となることが期待されます。

【概要】
地方と都市部の健康格差は、交通の不便さなど地理的条件によるものなのか、それとも所得や雇用などの社会経済的格差によるものなのか、これまで十分に明らかにされていませんでした。
東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野の香田将英講師らの研究グループ、2017〜2019 年の全国 408 万件の死亡データを市区町村ごとに分析しました。地理的条件を示す「へき地度」と地域の社会経済的な不利を示す指標を同時に考慮した結果、所得や雇用などの社会経済的な不利の影響を取り除いてもなお地方と都市部の死亡率の差は残り、どちらで死亡が多いかは死因によって異なることを明らかにしました。心疾患や交通事故、自殺は地方でより多く、結核や肺炎は都市部で死亡率比(注1)が高いなど、死因によって傾向が異なることがわかりました。
本研究結果は、地域の健康格差が死因ごとに異なる傾向を示すことを全国規模で明らかにしたものであり、地域特性に応じた保健医療政策を検討するための基礎資料となることが期待されます。

この結果は、地方と都市部の健康格差を一律に捉えるのではなく、死因ごとの特徴を踏まえて理解する必要があることを示しています。そのうえで論文の考察では、急性心筋梗塞や脳梗塞のように治療までの時間が生死を分ける疾患では救急搬送体制や医療機関の連携強化が、結核や肺炎など都市部で死亡率比が高い死因では感染症対策や生活環境への対応が、それぞれ課題になりうると論じています。今後、死因ごとに異なる地域差が生じる背景要因を明らかにすることで、地域特性に応じた保健医療政策の検討につながることが期待されます。


【用語説明】
注1. 死亡率比(Rate Ratio: RR):全国共通の年齢・性別ごとの死亡率をもとに市区町村ごとに算出した「期待される死亡数」に対し、実際の死亡数が何倍だったか(標準化死亡比)を表す統計量を、へき地度指標が1標準偏差高い地域と低い地域で比較したもの。

注2. 日本版へき地度指標(Rurality Index for Japan: RIJ):人口密度、二次・三次医療機関までの距離、離島、豪雪地帯指定を組み込んだ、日本の地理的特性に合わせた市区町村のへき地度の指標(1–100、高いほどへき地度が高い)。厚生労働省の医師確保計画の議論でも参照されている。

注3. 地域剥奪指標(Area Deprivation Index: ADI):世帯構成・住宅・就労状況に関する国勢調査の8変数から算出される、地域の社会経済的不利の指標。

注4. 生態学的研究:個人ではなく地域(本研究では市区町村)を単位として、曝露と健康状態との関連を分析する研究デザイン。

【論文情報】
タイトル:Association of municipal rurality and area deprivation with cause specific mortality in Japan: a nationwide ecological study
著者:Masahide Koda*, Nahoko Harada, Shuhei Nomura, Yusuke Tsugawa
*責任著者:東北大学大学院医学系研究科 公衆衛生学分野
講師 香田 将英(こうだ まさひで)
掲載誌:BMJ Public Health
DOI:10.1136/bmjph-2026-004913
URL:https://doi.org/10.1136/bmjph-2026-004913


都市部の結核問題は、江戸時代でも同様でした。
Q.都市部の結核問題は、江戸時代でも同様でした。「人口調節弁」としての結核ですね。

Copilot:
都市部の結核問題は、江戸時代でも同様でした。「人口調節弁」としての結核ですね。
結論から言うと、江戸の都市部でも結核は「人口調節弁」として機能した側面が確かにありました。ただし、その意味合いは現代の公衆衛生学でいう「疫病による人口調整」よりも、社会構造・都市構造が生み出した慢性的な健康格差の帰結としての高い結核死亡率という文脈で理解するのが正確です。

◆ 都市部の結核が「人口調節弁」として働いた理由
江戸は人口100万規模の巨大都市で、長屋密集地(下町)には単身男性が大量に流入しました。農村で家を継げない次男三男が流入し、高密度・低栄養・過重労働・不安定な住居という条件が重なり、慢性疾患である結核が広がりやすい環境が形成されました。

この構造は、以下の点で「人口調節弁」として機能しました。

① 若年男性の高い死亡率
江戸の死亡統計では、急性伝染病(天然痘・麻疹・コレラなど)に加え、慢性疾患としての結核が下層町人の主要死因であったことが知られています(※江戸の疫病史研究より)。
特に単身男性は栄養状態が悪く、長屋の密集環境で感染が持続しやすかった。

② 農村から流入する余剰人口の「吸収と消耗」
Note記事の分析が示すように、江戸は「家を持てない男たちの受け皿」であり、都市文化の担い手であると同時に、余剰人口を吸収しつつ高死亡率で再び排出する装置でもありました。

③ 都市の高密度構造が慢性疾患の持続的流行を支えた
江戸の水システムは急性水系感染症(コレラなど)には比較的強かったものの、長屋の密集・共同井戸・共同トイレなどの生活構造は、慢性呼吸器疾患の蔓延に適した環境でした。

◆ 江戸の感染症対策は「急性疾患」中心で、結核は構造的に放置された
安藤優一郎の研究が示すように、江戸幕府は天然痘・麻疹・コレラなどの急性疾患に対しては、養生所設立や町会所による生活補助など積極的な対策を行いました。
しかし、結核のような慢性疾患は当時の医学では原因も治療も不明で、政策的介入がほぼ不可能でした。

その結果、
急性疾患 → 幕府が対策し都市崩壊を防ぐ
慢性疾患(結核) → 下層町人の高死亡率として構造的に放置される
という二重構造が生まれました。

◆ 結核は「都市の人口を調整した」のではなく
より正確には、
江戸の都市構造が結核による高死亡率を生み、それが結果として人口調節弁のように働いた
という理解が妥当です。

江戸の人口は常に「流入>死亡」で維持されており、都市の巨大化を支えたのは農村からの継続的な流入でした。
その流入人口の一部が結核などで高い死亡率を示し、都市の人口構造を一定に保つ役割を果たした、ということになります。

◆ 現代との比較(仙台で地域医療に携わるあなたへ)
あなたが以前議論された「交通手段・家族負担・経済的限界が生むリハビリ格差」と同様、
江戸の結核問題も、医療技術より社会構造が生んだ健康格差の問題でした。

現代の都市部でも、
単身者の増加
低所得層の高密度居住
社会的孤立
が結核の再興リスクとして指摘されています。

江戸の構造は、現代都市の健康格差の原型とも言えます。


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